労災保険は、労働者(労働基準法第9条による)を対象としています。
しかし、労働者以外(中小事業主、法人の役員、家族従事者など)で、その実情等から労働者に準じて保護することが適当であると認められる場合には、特別に任意加入を認めています。これを特別加入制度といいます。
特別加入には、
の3種類がありますが、ここでは、加入要件の一つとして「労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること」とする、第一種特別加入(中小事業主等)について解説します。
まず、中小事業主等とは、下表に定める数以下の労働者を、常時使用(1年間を通じて100日以上にわたり労働者を使用している場合も含む)する事業主(事業主が法人その他の団体であるときは、その代表者)及び、労働者以外で当該事業に従事する方(事業主の家族従事者(妻、子息、その他の同居の親族など)や、中小事業主が法人その他の団体である場合における代表者以外の役員)をいいます。
続いて、中小事業主等に該当する方が特別加入するためには、次の3要件をすべて満たすことが必要です。
給付額については、給付基礎日額に基づいて算定されます。これは特別加入を行う方が所得水準に見合う適正な額を申請し、承認された額です。
平成21年現在、3,500円から20,000円の範囲で設定されております。
保険料については、保険料算定基礎額(給付基礎日額に365日を乗じた額)に、事業によって異なる保険料率を乗じた額が、年間の保険料額となります。
たとえば、給付基礎日額10,000円で既設建築物設備工事業に携わる方は、10,000円×365日×14/1000=51,100円となります。(平成21年度)
■通勤災害について
通勤災害は原則として一般労働者と同様に取り扱われます。
■業務災害について
加入申請書に記載した業務内容や所定労働時間をもとに判断されます。そのため、事業主の立場において行われる業務によって生じた災害については、保険給付が行われません。
たとえば、法人等の執行機関として出席する株主総会、事業主団体等の構成員として出席する事業主団体の会議、親会社等のゴルフ接待などといった行為は、労働者が行う業務に準じた業務とはいえないので、補償の対象外となります。
また、労働者の出勤が予定されない休日等に特別加入者が単独で作業を行う場合も、対象外です。