当社では、年末年始やゴールデンウィークの大型休暇に備えるため、一年単位変形労働時間制を導入しています。先日、一年変形制を取る場合には、休日の振替に制限があると聞いて慌てています。どの程度の範囲なら認められるのでしょうか?
連続労働六日以内が原則です。
一年単位変形労働時間制は本来、季節的な繁閑の大きな業種での利用を想定しています。代表的なのはデパートで、中元・歳暮の時季とそれ以外では、仕事量に大きな差かあります。この場合、忙しい時には一日の所定労働時間を長く、そうでない時季は短く設定して、全体として週平均40時間をクリアできるように工夫します。
しかし、業務量にそれほど明確な増減のみられない業種でも、大型休暇に備えるため一年単位変形労働時間制を取るケースか少なくありません。一日の所定労働時間は年間を通して固定し、労働日数の割り振りにメリハリをつけるわけです。このような事業場は、形態的には一年変形制に分類されていても、実態は一般の事業場に近いといえるでしょう。
一年のように長期的スパンの仕事の増減でなく、突発的な受注増等があった場合、一般には、残業を増やしたり、休日を振り替えたりする手法か取られます。ご指摘のように一年変形制の場合、それ以外の事業場よりも振替には厳しい制限か課されています。
なぜなら、一年単位の変形労働時間制は、使用者か業務の都合によって任意に労働時間を変更することがないことを前提とした制度である」 (平11・3・31基発第 168号)ので、通常の業務の繁閖等を理由とした振替を無制限で認めるべきでないからです。しかし、一律禁止するのも現実的ではありません。
■現在は、原則として、次の条件を満たす場合に限って、休日の振替か認められています。
これは、一年単位変形労働時間制を取る事業場で所定労働日を設定する場合、「連続して労働させる日数の限度は六日とする」(労基法施行規則第一二条の四第五項)と定められているのに、対応しています。ただし、労使協定で「特定期間」と定めた期間については、連続労働日数を一二日(一週間に一日の休日を確保できる範囲)に延ばすことかできます。
そのため、振替休日の規制も次のとおり緩和されます。
3. 特定期間においては一週間に一日の休日か確保できる範囲内であること